還付の保留:財政の安定と企業活動への圧力の狭間で
Written by on
税制をめぐる問題が再び注目を集めている。政府が、過払いとなった税金の還付(Tax refund)の支払いを保留していると報じられている。2025年を通じて、その還付額は361兆ルピアに達したとされ、過去数年と比べて大幅に増加している。例えば2023年には、税還付の実現額は232.2兆ルピアであった。この急増は財政面で深刻な懸念を引き起こしている。
その対応はどうか?「保留」である。現在進行中の一部の還付が、国家収入の漏れの疑いがあるとして、財務開発監督庁(BPKP)によるより厳格な監査のもとで保留されている。
この政策は議論を呼んでいる。その理由は単に金額の大きさだけでなく、納税者(WP)の権利という税制の基本原則に関わるからである。
企業側の不安
現場では、その影響がすぐに現れている。小売業から鉱業まで、さまざまな業種の企業が同様の懸念を表明している。還付の保留は企業のキャッシュフローを圧迫する可能性がある。
この問題は単純である。還付は単なる会計上の数字ではなく、給与の支払いや原材料の購入、生産維持など、事業運営に必要な実際の資金である。
ここにパラドックスが生じている。
一方で政府は財政の慎重性を理由に還付を保留しているが、他方では2026年5月から、税還付を迅速化する「過払い税金の先行還付制度」を導入しようとしている。
このような相反する政策は、混乱したシグナルを生み出している。企業が求めているのは過度な優遇ではなく、「確実性」である。
インセンティブではない
還付は国家からの「贈り物」ではないことを明確にする必要がある。
還付とは、すでに国庫に納められた税金の過払い分に対する権利であり、本来は納税者のものである。しかし、その返還プロセスは複雑である。
このプロセスにおいて、国は行政的審査から詳細な監査まで、厳格な検証メカニズムを設けている。さらに、多くの納税者が異議申立てや控訴、最高裁判所(MA)での再審請求など、長く困難な法的手続きを経なければならない場合も少なくない。
これらの法的手続きは時間・労力・費用を要し、数年に及ぶことも珍しくない。
すべての手続が完了し、当該過払いが納税者の権利であることを認める法的判断が確定(インクラフト)した場合、国はその返還義務を果たすべきである。
もし行政手続き外の理由で返還が保留されるのであれば、問題となるのは手続きではなく、法的確実性へのコミットメントである。
流動性を伴わない還付
問題は保留にとどまらない。還付が認められても、現場では新たな問題が生じている。「条件付き」である場合が多いのだ。
実務上、還付が承認されても現金で返還されないことがあり、その資金はコアタックスシステム内の税金デポジットに振り替えられる。
技術的には、このデポジットは将来の納税に使用できる。しかし企業にとっては問題の解決にならない。必要なのは流動性であり、税金支払いにしか使えないデジタル残高ではない。
さらに現場では、そのデポジットを当年度の税金支払いにすぐ使い切らないようにという「非公式な指導」があるとされる。
これが広く行われているのであれば、それは単なる行政運用ではなく、事実上の権利制限である。
上流からの解決
政府の目的が還付の増加を抑え、国家予算(APBN)の健全性を守ることであるならば、現在のアプローチは適切とは言い難い。
問題は下流の還付ではなく、上流の徴税設計にある。
還付を抑制するのではなく、そもそも過払いを防ぐべきである。その方法としては、法人税第25条の分割納付の減額、付加価値税(PPN)や所得税(PPh)の免除証明書(SKB)の発行、より現実的な事業予測に基づく納税調整メカニズムの導入などがある。
法人税第25条に関しては、PER-11/PJ/2025により、納税者は税額予測が75%未満に下がる場合、分割額の調整が可能となっている。
しかし、この制度の有効性は税務当局の迅速な対応に依存している。年末の還付を厳しくするよりも、年中の分割納付調整を最適化する方が、企業のキャッシュフローと財政の信頼性の双方にとって健全である。
また、PER-8/PJ/2025に基づき、PPh第21条、第22条(輸入含む)、第23条の免除証明書(SKB)の取得を拡大・簡素化することも重要である。実際に赤字や低利益率の企業にとって、源泉徴収は不必要な資金負担となり得る。
最終的に長く煩雑な還付手続きを経て返還されることになる資金を納税者に拠出させるのではなく、初期段階で免除証明書(SKB)を付与することで、実際の税収ポテンシャルを損なうことなく、企業の事業継続性を維持する。
例えば、利益率の低い輸入業者などは、構造的に過払い状態にある。この場合、過払いは異常ではなく制度設計の結果である。適切な対応があれば、企業は国家に資金を「貸し付ける」必要がなくなる。
このアプローチは財政的にも健全であり、企業の資金繰りも安定する。
信頼の維持
国家予算の維持は重要である。しかし、財政の安定は企業活動の確実性を犠牲にして達成されるべきではない。現代の税制は本来、信頼の上に成り立っている。納税者の権利である還付の遅延や制限は、その信頼を損なう。
国際的にも、還付プロセスの効率性は投資環境評価の重要な指標である。世界銀行の「Business Ready 2024」などでは、還付の迅速性が重要な評価項目となっている。
つまり、重要なのはインセンティブの大きさだけでなく、義務履行後の権利をどれだけ効率的に扱うかである。還付の遅延は、インドネシアの財政的信頼性を損なうリスクがある。
さらに、企業のキャッシュフローへの圧力は、長期的には税収基盤そのものを弱める可能性がある。
したがって、政府は還付に対する考え方を見直す必要がある。還付は「漏れ」ではなく、徴税システム改善のシグナルである。
真の改革とは、権利を後から制限することではなく、最初から公正で正確な制度を構築することである。(KEN)
※本稿は筆者個人の見解であり、所属機関の公式見解ではない。